教え子の結婚 [Aちゃん(家庭教師:数学2から4 08満了]
今年は沖縄で過ごしました。娘は初めての海とプールを楽しみ、帰ってからも、プール、プカプカ、と喜んでいます(笑)
旅行中に今年23歳になるAちゃんから、結婚します、そして妊娠しました、とのLINE。
彼はお隣の国の男性で、国際結婚。
結婚する予定、とは聞いていましたが、いざ報告を受けると感慨深いものがあります。
中学の時は、無気力で、いろんなことが不安だった彼女が、国際結婚というハードルも越えて、そして、私と同じ、母、になるのですね。
ママ友になってしまいますね(笑)
若いママ、羨ましいです。私は30代前半で出産しており、第2子を、と思うと確実に高齢出産になってしまいます。リスクを考えると、どうしても不安が生じますし、子育てに欠かせない体力もない!
さて。話は変わり、現在担当中の生徒。
ご両親にもサポート頂いて、宿題に地道に取り組んでもらっています。
考える、という習慣がないため、特に英語で苦労しています。
主語に線、動詞に波線引いて!この文は一般動詞の文?be動詞の文?と聞くと、その場の思い付きで、答えます。一般動詞かbe動詞かはどうやって見分けるんだった?と、細かく指示していかないと、導けない。
脳内で筋道をたて順番に考えていく、という習慣をつけていく
ことが、目下の課題です。
それでも、ご両親は、thatも読めなかった子が教科書をすらすら読めるようになってきた!と、喜んで
くださいました。二週間後に迫る中間テストで、まずはしっかり成果を出します!
Aちゃんとのランチ [Aちゃん(家庭教師:数学2から4 08満了]
場所を約束した時に、こんなメールをもらいました。
「先生、車ですよね?私も車で行くので、現地で会いましょう」
なんだかとても不思議な気持ちになりました。
22歳。免許を持っていて車に乗っているのは当たり前なのですが、私の中の彼女は中学生だったので(笑)高校卒業時に会ってから四年ぶりです。
五分ほど前にお店に着き、どきどきしながら彼女を待ちました。
ほどなく、入り口に姿を現したのは、「女の子」ではなく「女性」でした。
スレンダーで綺麗な女性が近づいて、「こんにちは、お久しぶりです」と挨拶をしてくれた時、
なんだかすごく、自分が年老いた気がしました(笑)
いやー、30代半ばの自分はおばさんだなと(笑)
三時間程だったでしょうか。四年ぶりとは思えないくらい、話に花が咲いて、とても楽しい時間でした。
高校卒業後、ある大学に推薦で進学した彼女ですが、二年生の時の年賀状で、中退しました、との報告を受けていました。
それからしばらく会社員をして、その後はフリーターとのこと。
「大学なんで辞めたの?」
「単位が取れなくて。追試受けても単位とれなくて。全然単位取れなくて卒業できる気がしなくて」
知りませんでしたが。彼女が進学した大学は、広告等でよく、就職率の良さを宣伝しています。
ただ、大学自体は難易度の高いところではありません。
つまり、入学してから鍛えて卒業、就職をさせるということのようでした。
それを知らずに入ってしまうと辛いことになるのだと思います。
四年前、高校卒業時に、大学に進学するという報告をしてくれた時、彼女は言っていました。
「まだ遊びたいから大学に行く」と。
彼女の中での大学のイメージは、ゆる~い、遊んでいても単位が取れる、そんなイメージだったと思います。
今の大学が一般的にどのようなものかわかりませんが、付属高校から、エスカレーターで進学した文系の女子大で四年間を過ごした私は、まさしく、そんな大学生活で、一部厳しい教科はあったものの、普通に講義を聞いて試験を受けていれば単位は取れましたし、まだまだアナログだった時代、出席カードを友達の分も書いたり、代返したり、バーゲンに行くために、出席だけ取って、授業を抜け出したりしていました(笑)
だから、私には、「遊びたいから大学に行く」という考えを否定できるような資格は全くないのですが。
ただ、それでも、「中退」してしまったのは、残念だとは思いました。
彼女の出身高校では、試験に落ちたら補習などで通してくれていたので、追試を受けても合格点にならないと単位をもらえない、というのは相当に厳しく感じたのだと思います。
しかし、きっとこれからは、日本の大学も厳しくなっていくのでしょうね。
そして、やはり、「目的を持つ」ことは、四年間をやり遂げる強さになると思います。
ただ、現在の彼女は、大学中退し、フリーターですが、私の目から見たら、とっても成長して、素敵な女性になっていました。
きちんとした挨拶。
雰囲気には、あの頃のような無気力さも自信のなさもなく、結婚を考えている彼氏がいて、習い事をしたりして、日々を活き活きと楽しんでいる様が伝わってきました。
「高校行かない」と言っていた彼女が、うつむいていた子が、こんなにも、毎日を楽しんで、
不安感が強く、新たな世界への戸惑いも大きかった子が、様々な仕事を経験して、明るく元気に生活していること。
「結婚決まったらお祝いしたいから教えてね」
彼女からは、「お母さんも会いたがっていたから今度は家にもきてください」
そんな言葉をもらい、再会を約束して別れましたが。
楽しい時間でした。すごく楽しかった。
教え子とこうして長く繋がれていることは、本当にありがたいことです。
大切にしたい絆です。
それにしても。
22歳は輝いていました。子育てを理由に、どんどんダサくなっている気がする私。
昔は「化粧が濃すぎる!」と私に文句を言っていた実家の母は最近、「化粧が薄すぎる!」と言います…。
なんとかしなくては…。
三年 [Aちゃん(家庭教師:数学2から4 08満了]
現在担当している中3のAちゃんではなく、三年前、初めて家庭教師をした時に担当した生徒です。
担当後に数学の成績が2から4へと上がり、思い出深い生徒です。
担当当初、「高校に行きたくない」と言っていた彼女。
当初、指導中に、テレビを消すことができない子でした。
理由は、「静寂が嫌」というものでした。
「学校のテストで、あの静まり返った感じが嫌。ペンの音だけが響いているあれが
すっごく嫌。静かなのが嫌だし、テストが嫌だから高校には行きたくない」
その気持ちが。
本当によくわかりました。
当初、数学の点数は20点台で、「何にもわからない状態」だったと思います。
その状態で、静寂の中、ただただ座っている50分はどれほど長く、そして、
「わかっている人たち」がペンを走らせる音が、どれほど不安なものか。
私は、高校に入って初めて、「わからない」ことがどんなに苦痛であるかを思い知らされました。
本当にわからないのです。面白いくらい。
教科書なんて読めばわかる、と思っていたのですが、教科書を読んでも
解説付きの参考書を見ても、教科書ガイドを見ても何を言っているやら。
もちろん、学校の先生の言っている言葉はまるで別世界の言葉にしか聞こえませんでした。
苦痛でした。授業が。
日本語しか話せない者が、ぽんと異国の地の教室に放り込まれたようなもの。
Aちゃんの気持ちがわかるだけに、
テレビを消すようにも言いませんでしたし、高校についても何も言いませんでした。
ただ、一緒に数学をやり始めて、二度目のテストで80点以上の点数を取ってから
彼女は変わり始めました。
最終的に、「元々興味があったけれど、行けるわけないと思っていた」高校に合格し
進学して三年目。
彼女の学科は思ったより厳しかったようで、「辞めたい~」とメールが来たこともありました。
けれども、今日、
「大学に行きたいと思っている」とのメール。
正直驚きました。
高校にすら行きたくないと言っていた彼女が。
「やりたいこととかわかんないんだけど、ただ、大学に行ってみたい。大学生活って楽しいですか?」
しばしやり取りをしました。
「いろいろ見学とか行ってみます。またメールします!」
中学三年生の時と同じように、
「大学行ったら、友達とかすぐ出来るんですか?めちゃ不安で」
という面は変わらず(笑)
あの頃も、高校が決まった後の授業でいつも
友達ができるか不安、と口にしていた彼女。
けれど、当初、
「音楽のテストが嫌で休む」と言っていた面影はなく
次のステップへと進んでいこうとする様から、大きな成長を感じました。
こうして、生徒達の成長していく様を垣間見ることができるのは本当に嬉しいものです。
あの時の。
あの年の、中3も今や大学一年生。
見続けていたかったな・・・と今でもやはり思います。
生徒のその後 [Aちゃん(家庭教師:数学2から4 08満了]
今春、無事第一志望の私立高校に合格、進学しました。
彼女は、中2で家庭教師を始めた当初、
「高校いかないかも・・・」
と言っていました。
テストが嫌、というのが大きな理由でもあり、定期テストなど、皆が静まり返るテストへの拒否感もあらわにしていました。
また、苦手な教科の実技テストを欠席するなど、
嫌なことを回避する
傾向が強く見られた生徒でした。
そんな彼女でしたが
数学での成績アップをきっかけに
他教科にも取り組み始め、
高校に行きたいという意欲も沸き、
高校に行きたい、と意欲ゆえ、苦手教科の実技テストにも真面目に参加するようになりました。
結果、内申点は6個上がり、
無事、第一志望の私立高校に推薦合格を果たしました。
そんな彼女から、携帯のアドレス変更の通知がきたことをきっかけに
メールを交わしていたのですが。
彼女が進学した私立高校の専門課程には
実技の授業があります。
その、ある実技授業は厳しくて、居残りになることも多いとか。
「居残りになってばっかだけど、なんとかがんばってるよ!」
そんな嬉しい報告を聞くことができました。
今年も、まもなく入試シーズンです。
私は、生徒達が、
第一志望の高校に無事合格することも望んでいますが
それ以上に
高校受験を通して 嫌なことやハードルを乗り越える精神力や 逃げない強さを 培って欲しいと思っています。 それはきっと、 高校だけではなく 社会に出ても、 人生そのものを送る上で 大切になってくる力だと思うのです。
生き生きと [Aちゃん(家庭教師:数学2から4 08満了]
Aちゃんに「おめでとう」とメールをし、しばらくメールで会話を続けました。
「当分遊べるね(笑)」
「うん、なまける(笑)でも部活あるんだ!」
「部活あるんだ!?」
「うん。卒業制作作ってるの!」
Aちゃんは美術部でした。
担当当初、
「美術が好きなの?」と聞いたら。
「う~ん…別に。友達に誘われたのと何もしなくていいから楽だから…」
と物憂げに答えていたAちゃん。
昨日のメールからは、生き生きと楽しみながら卒業制作に取り組んでいる様子が伝わってきました。
この一年、ひとつひとつできることが増えていき、成績が上がり。
高校進学の意思が芽生え。
そして、最後の一ヶ月。本人が「こんなに勉強したの生まれてはじめて」と言うほど、頑張って手にした合格の切符。
輝いてるなあ、そう思います。
成長したなあ、そう思います。
受験を通して、得られるものは「高校合格」の事実だけじゃない。
あれほど切望した高校合格の時の喜びはきっと一年後には薄くなっている。
けれど、消えないものは、その一年で得た自信や輝き。
大切なものは心の中に。
失っていた自信や輝きを取り戻したとき、生き生きと輝きだす「生」の光。
生徒のテストの点数が上がることより、お褒めの言葉を頂くことより
何よりも嬉しいのは
こうして変化を遂げ、生き生きと輝く姿を見られること。
Aちゃん卒業おめでとう。
心から言いたいです。
そして、ありがとう。
あなたに出会えてよかった。あなたの家庭教師をさせてくれてありがとう。
あなたのこれからの人生が、生き生きとした輝くものでありますように…。
アンケート [Aちゃん(家庭教師:数学2から4 08満了]
私は今回、Aちゃん宅の家庭教師を終えるにあたって、Aちゃんとお母様にアンケートをとりました。塾だと「授業評価アンケート」などがありますが。アンケートをとった目的は「今後の自分の授業の参考にするため」です。
生徒や保護者が私の授業についてどのようなことを思っているのか。
お母様からは私の授業に対する意見、感想として次のような言葉を頂きました。
「授業の進め方がとてもうまくわかりやすかったと思います。特に数学で、苦手で嫌いだったものが、段々分かるようになり好きになった…ということが大きな自信になったと思います。また授業の90分以外にもかなりの気配りがありました。いつもプリントを持ってきてくださってそれを作成する時間や印刷時の紙代もかかったと思います。ありがとうございました。人見知りする性格の娘がすぐに打ち解けられたのも先生の人柄のよさのお陰です」
大変嬉しく、励みになるお言葉を頂けたのですが、合格直後であり、また、家庭教師という状況ゆえ、5割増しくらいの書かれ方をしていると思いますので、ここに甘えてはいけない、と気を引き締めています。
それはさておき、いくつか、感じたことがありました。中でも一番強く感じたのは、当然といえば当然なのですが、完全に生徒に合わせた指導ができるということ。
塾講師時代、個別とはいえ、完全に一人一人の生徒の合わせてプリントを作ったりするのは困難でした。家庭教師を始めてからはそれができます。たとえば、証明が苦手で全く出来なかったAちゃんには、証明の手順に加え、教科書と彼女の学校の問題集から問題を抜粋し、穴埋め形式から自分で図も書き、証明をする、という流れでプリントを作りやらせました。その結果、違ったパターンの問題でも解けるようになりました。
まさに文字通り生徒のレベルや状況に合わせて細かく指導できたのが塾との違いであり家庭教師ゆえのメリットでした。問題を解かせて○付けして解説するだけなら意味はありません。そういう講師には絶対なりたくないと改めて思います。そして苦手なことや嫌なことから逃げるのではなく、取り組み易くするためのサポーターとして在りたいと改めて感じています。
後は、この仕事におけるコミュニケーション能力の重要性。これも、塾講師時代に感じていたことではありますが、私は、この仕事で一番大切なものは?と聞かれたら、学力でもなんでもなく「コミュニケーション能力」と即答します。
コミュニケーション能力と言っても、大切なのは、「生徒と仲良くなること(=お友達)」ではありません。そこを履き違えるととんでもないことになります…。信頼感というのは、生徒との仲のよさから生まれるものではないと思います。
そういえば、明日から私立一般入試。とはいえSちゃんにとっても他の大多数の生徒にとっても、第一志望は公立なので私にもさほど緊張感はないのですが…。それでも、多くの生徒達にとって初めての入試です。力を出し切り、合格を掴んでくれることを願っています。
最後の道を走る [Aちゃん(家庭教師:数学2から4 08満了]
仕事を終えて、いつものように車に乗り、通いなれた道をAちゃんの家へ。信号の変わるタイミングも、お店の休みの日もいつしか覚えていました。時々寄ったコンビニへも、そしてこの街へもきっともう来ることはないでしょう。
一年前、地図を片手に走ったことを思い出しながら。
車を止め、階段を上る。Aちゃんの家の前に立ち、インターフォンを押す。
お母様の笑顔がのぞく。
「こんにちは。おめでとうございます!」
「こんにちは!ありがとうございます!上がってください!」促されて上がる。
隣室から出てくるAちゃんの姿。
「おめでとう!!」
「ありがとう!!」
ずっと見たかった笑顔。本当におめでとう。
「発表の日ね、お母さんに布団干してもらったの。受かってたら布団干すって約束して(笑)」
「あははは(笑)それ上手いね!Aちゃん家、学校から見えるもんね。てか意味不明のタイミングで布団干されるよね、それ(笑)」
「そうそう!ずっと家ばっかり見てたし!(笑)」
お母様がお茶を運んできて、笑顔で会話に加わりました。
母「もっと早くエンジンかければよかったのに、ギリギリになって慌て出して(笑)先生が帰られた後も、黙々とずっとやってたんですよ。当日も、早く起こして、って言って。」
Aちゃん「やらなきゃいけないことがさ、全然終わらなかったんだよね。もっと時間が欲しい!って思った。でも、あんなに勉強したの生まれて初めてだった」
私「ラスト一ヶ月の英語の頑張りも凄かったね!」
母「英語もね、単語覚える気にならない、ってあんなにやらなかったのに、先生が覚えなきゃいけない単語をまとめてくださったから、『これを覚えればいいんだ』ってやる気になったみたいです。」
母「数学もね。それまで、1と2ばっかりの通知表があんなに上がるなんて。あれで一気にやる気になったみたい。それまで、何をしていいかもわからなかったもんね。ホントに先生のお陰です。」
私「いえいえ。Aちゃんが頑張った結果です。何よりも、努力は裏切らないってことを今回のことを通して感じて頂けたら嬉しいです。そういえば、渡したプレゼントの中に本が入ってるからさ。何かの折りに読んでみてね。私の好きな本なんだ。恋愛にも友情にも参考になると思う。」
私が渡した本は「星の王子様」(サン・テグジュペリ)
子どもの頃、母に手渡された時には、興味を持つことのなかったこの本は、年齢を重ねるごとに味わい深くなっていきます。様々な訳者のものを持っているのですが、私が一番好きなのは河野万里子さんの訳(新潮文庫)
恋愛でうまくいかなくて落ち込む時も、友達関係で悩んだ時も、B塾でA君との関係に疲れた時も、塾長とうまくいかなくて悩んだ時も…私は事あるごとにこの本を開き、読んできました。その度に、心の琴線に触れる言葉があるのがこの本。
Aちゃんとお母様と話をし、そして二人の笑顔に見送られて、Aちゃん宅を後にしました。
Aちゃんのこれからの人生にたくさんの幸せがありますように。そして、頑張って掴んだこの合格の喜びを、行き詰った時にはまた思い出してほしいなと思います。
努力は必ずしも報われるとは限らないが努力しなければ報われない。
それはきっと、Aちゃんにも、そして私にも言えること。帰路、最後の道を走りながら、様々なことに思いを馳せました。この一年に心から感謝して、そしてまた新たな道を行きます。
合格♪ [Aちゃん(家庭教師:数学2から4 08満了]
私立推薦入試を受けたAちゃんから合格報告がありました
初めて、Aちゃんの家庭教師に訪れた昨年の1月10日から一年。
参考↓
http://blog.so-net.ne.jp/beautiful-days/2007-01-10
http://blog.so-net.ne.jp/beautiful-days/2007-06-23
http://blog.so-net.ne.jp/beautiful-days/2007-07-17
http://blog.so-net.ne.jp/beautiful-days/2007-08-08-1
http://blog.so-net.ne.jp/beautiful-days/2007-09-27
今年は、生徒の成長を最後まで間近で見ることが出来た、それが今本当に嬉しいです。
あの頃、Aちゃんの家に向かう車の中で、何度も何度も涙が止まらなくなって困ったことを覚えています。けれど、今度こそは絶対に合格させてあげたい、合格の笑顔をみたい、その思いから始まった一年は、いつしか良い意味で形を変えていたと思います。
Aちゃんの指導を始めてみると、様々な問題点が見えてきました。それらを一つ一つ、まずは解決することから始まったように思います。
私の最初の目標は、「つきっぱなしのテレビを消すこと」でした。英語の家庭教師が消そうとしたようでしたが、うまくいかずそのままになっていました。それが消せたのは指導を開始して数ヵ月後。
次の目標は「目標を作ること」でした。当初、Aちゃんには無気力さが見られました。「う~ん。高校とか行きたくないし。専門とかでもいいかも…」
「どんなことしたいの?」そんな会話から始まって。夏には、本人の中で、S高校に行きたい、という意思が固まりました。
成績も、20点台だった点数が学期中間テストでは数学84点、と上昇。
推薦がついてからは、どうしてもやる気にならなかった英語も頑張り始めて。
そして今日、希望通り、S高校の合格を頂くことができました。
指導当初、Aちゃんがよく口にした台詞があります。「どうせバカだから」「○○高校ならバカでも行けるの?」
Aちゃんに限らず、よく耳にします。「どうせ、俺はできんもん」「どうせバカだもん」
その言葉を聞く度に私は悲しくなります。きっとこれまで、勉強という舞台でいい思いをしてくることがなく、時には、親や教師に怒られながら過ごしてきたのであろう生徒達。彼らは「高校とかどうでもいいし」「いかんくてもいいし」とも言います。彼らからしたら、受験は、向かう気すらなくす、あまりにも大きすぎる「怪物」なのだと思います。
どんな生徒達にも「出来るようになりたい」という思いが絶対にあります。けれど、どっちに進んでもいいかわからないような真っ暗な道を怒られながら進み、進む先にいるのは怪物、では進む気をなくすのも当然のこと。
そんな道を共に歩む伴走者でありたい。そして徐々に、光の差し込む道を見つけることができるように。私はそう思っています。彼らと共に過ごす中で、「どうせバカだもん」その台詞が徐々に消え、そして、Aちゃんのように、自信をつけ、困難に立ち向かう勇気を見出してくれることが私の願いです。
勉強が出来るかどうか、よりも、出来ないことで、自信を失い、無力感を抱えて自分を卑下し始める。それが一番悲しいのです。
この一年で、Aちゃんは本当に成長したと思います。
もう、後は一人でも大丈夫でしょう。私がついていくのはここまでです。
別れは寂しいけれど、そんな彼らの成長が私にとって何よりのプレゼントであり、喜びです。
光が差し込む道を、彼らが歩いてゆくのを見送ります。
そして、またどこかで、暗すぎる道に出会った時も、今度は、きっと進める力を持てるはず。
受験合格はゴールではありません。
ただ、受験という経験で得られたものはたくさんあるはずです。それを彼らがこれからの人生で活かしてくれることを願っています。そして、何よりも、彼らがこの先の人生を幸せに過ごしてくれることを。
そして、私自身、一人一人の生徒と出会い、共に歩むことで、成長させてもらっています。彼らとの出会いに、そして成長できる機会を頂けていることにも改めて感謝しています。
そして後は、公立入試のSちゃんの授業!頑張ります☆
ついに [Aちゃん(家庭教師:数学2から4 08満了]
明日は私立推薦入試です。
Aちゃんの学習指導も今日で最後になる予定です。いや、最後になります。
一年前のことを思い出しながら、指導を終えました。
お母様からは早々とお礼に商品券を頂いてしまい恐縮です。
Aちゃんの、そして他の受験生達の、健闘と合格を祈っています!!
負けない 諦めない [Aちゃん(家庭教師:数学2から4 08満了]
「それが大事」って歌がありましたね。あの歌のサビをふと思うことが多いこの頃。
英語が大嫌いだったAちゃん。今日、基本の確認をしたのですが、この一ヶ月で、それなりに形になってきました。半年以上前、初めて一緒に英語の教科書を開いた時、「全然わかんない」と言っていたのが嘘のよう。
泥縄式だったとは思います。三年間の内容(と言っても、関係代名詞などはやらなかったので三年半ばまでの内容)を一ヶ月でやったわけですから。ゼロに等しかった単語力。動詞から始めて、よく使う単語をものすごい勢いでやらせました。更に、疑問詞、代名詞の格変化、動詞の不規則変化、と必要だと思われることをノートに書きまくって、宿題で覚えさせました。何度も何度も書いて練習した跡が見受けられ、回を重ねるごとに書ける単語が増えていくのが、気持ちいいいくらいはっきりとわかります。
オール3の成績で、当初、中々結果につながらなかったSちゃん。けれど、諦めなかった姿勢は、今はっきりと学習結果に出つつあります。演習問題も、英語はほぼパーフェクトにこなしてきます。数学も、考える姿勢が身についてきました。諦めなくなりました。「すごいじゃん。よくできてるじゃん」最近、この言葉を何度も何度も口にしている私。自然に口から出てくる言葉達。
そして、私自身。負けずに歩んできたこと、諦めずにきたことが今、プラスの結果を生み出していると実感しています。
B塾にいた頃。塾講師は、私にとって天職だと思えつつありました。けれど、様々な壁にぶつかり、辞職し、築いてきたものを全て失ったと思い…。その後は、この道を離れようとも思いました。
けれど、壁にぶつかったからこそ、私はいろいろなことを考える機会を得ました。あの時、壁にぶつかって塾を辞めていなければ、失敗していなければ、私は今頃、狭い世界で思い上がり、傲慢になっていたかもしれないと思います。失敗した分、悩んだ分、得たものは大きかった。
壁にぶつかった時。もがけばいい。苦しめばいい。とことん悩んで、後ろ向きになる時があるのも当然。
でも、一歩下がってもまた一歩前進して、次は二歩前進して。一進一退しながらでも、毎日、ほんの1mmでも頑張って歩いていれば、振りかえった時、思ったよりはるかに長い道のりを歩いてきたことに気づけるのだと思います。
負けないこと あきらめないこと。失敗を糧にすること。失敗から常に学ぶ姿勢を持つこと。大切にしたいと思います。